松島塾
松島を愛する人のための教科書
おくのほそ道を歩く

五月十日(陽暦六月二十六日)
「おくのほそ道」では、十一日瑞巌寺を参詣し、十二日に平泉にと志したと書いているが話の進め方として一の文字を採用したものと考えられる。実際は、曽良日記で松島を出発したのは五月十日である。文学作品としての「おくのほそ道」は、日記ではないので作品の都合上日付をずらしても問題にならない。
松島から石巻へ
「宿」(久之助)→水主町(かこまち)→新富山道珍浜→高城川(土橋)→高城→千葉商店(ガソリンスタンド)前の馬頭観音脇の道(松島高等学校方向へ)→一里塚(松島高校正門前・江戸より百里)→一の渡し→左坂(あてらざか)→七むじり坂『従来は』十文字(左松山道・右石巻』としていたのは間違いだった)→上下堤済興寺下『江戸より百一里地点の『一里塚』→鳴瀬川の渡し→追分けの碑(小野)→鹿妻→矢本新田→石巻(日和山)
解説
 二階屋の久之助をあとに水主町(おかこまち)を通って新富山の下を通り蛇が崎に至る。
水主町は伊達の水軍の集団住居である。武家の集落であるから地元では「おかこまち」とよんでいる。同じ規格の家が44軒道の両脇に並んでいた。しかし、しばらく保存していたが、現代感覚の間取りではないし、どうしても狭いし、二階がない。結局立て直す所が増えて、今では円通院前に『どんじき茶屋』という名前で昔の家をそのまま保存しているだけとなった。新富山の下を通り、道珍浜のあった松島第1小学校の裏を通って、蛇ヶ崎にぬける。蛇が崎は国道を造るときに削り取られた。蛇ガ崎から高城に行くには、『蛇が橋』という土橋をわたるか渡し船で行ったという記録もある。
* 松島海岸の熱田屋から20丁で高城の高札場に到着する。高札場は、現在の青少年ホームの所にあった。高城宿は南北八丁20間、本町四丁、新町二丁五〇間、河原町二丁。高城字町一番地は赤間さんでそこから西柳1−1の千葉商店までが高城である。

千葉商店の道路向かいの交差点から少し入った所の馬頭観音の石碑が建っている。ここから石巻方面への道が続いていた。松島高等学校の前を通って一の渡しを過ぎ左坂(あてらざか)をへて、「七むじりざか」をこえて「上下堤一里塚」に至る。

* 鳴瀬町(東松島市)で芭蕉の道として道標(表札)をつくっているがこれは間違いということになる。
曽良随行日記
「十日 快晴。松嶋立。馬次ニ而ナシ。(間二十丁斗)馬次、高城村、小野(是ヨリ桃生郡弐里半)石巻(四里半)。仙台ヨリ十三里余。小野ト石ノ巻(牡鹿郡)ノ間、矢本新田ト云町ニ而咽乾(のどかわき)、家毎ニ湯乞共不与(ゆこえどもあたえず)。道行人(刀さしたる)、年五十七八、此躰(このてい)を憐テ、知人ノ方ヘ壱丁程立帰、同道シテ湯を可与(あたうべき)由ヲ頼。又、石ノ巻ニテ新田町四兵へと尋、宿可借之由(やどかるべきのよし)云テ去ル。名ヲ問、ねこ村(小野ノ近ク)コンノ源太左衛門殿。如教(をしへのごとく)、四兵へヲ尋テ宿ス。着テ後、小雨ス。頓而(やがて)止ム。日和山と云ヘ上ル。石ノ巻中不残(のこらず)見ゆル。奥ノ海(今ワタノハト云)・遠嶋・尾駮(まぶち)ノ牧山。眼前也。真野萱原も少見ゆル。帰ニ住吉ノ社参詣。袖ノ渡リ、鳥居ノ前也。」

石の巻
 十二日、平泉と志し、姉歯の松・緒絶えの橋など聞き伝へて、人跡まれに、雉兎蒭蕘(ちとすうぜう)の行きかふ道そことも分かず、つひに道踏みたがへて石の巻といふ港(湊)に出づ。
 「こがね花咲く」とよみて奉りたる金華山、海上(かいしょう)に見わたし、数百の廻船入江につどひ、人家地をあらそいて、竈(かまど)の煙(けぶり)立ち続けたり。
 思ひがけずかかる所にも来たれるかなと、宿借らんとすれど、さらに宿貸す人なし。やうやうまどしき小家に一夜を明かして、明くればまた知らぬ道迷ひ行く。
袖の渡り・尾ぶちの牧・真野の萱原などよそ目に見て、遙かなる堤を行く。
心細き長沼に添うて、戸伊摩(といま)といふ所に一宿して、平泉に到る。
その間二十余里ほどとおぼゆ。



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