松島塾
松島を愛する人のための教科書
ベトナム見聞録

ベトナム紹介
「ベトナムの分断はなぜ起こったか」
 まず、第1に、1945年七月、連合軍はポツダム会議で「ベトナムを支配している日本軍を追い出したあとのこと」について話し合った。

 暫定措置としてフランスに代わってイギリスと中華民国の軍隊をインドシナに派遣する。

 ベトナムを北緯16度で分割し、日本軍を武装解除し、連合国捕虜を解放する。

 ところが、かつてインドシナ半島を支配していたフランスは結果的には戦勝国とはなったものの実際は、ドイツのヒットラーの軍隊に占領され、亡命政府がイギリスにつくられ、レジスタンスを行って来たような状況で戦闘能力を大きく欠いていた。したがって、日本軍を武装解除して連合軍の捕虜を解放する能力を持ち合わせていなかった。
 そこで、フランスに代わって二つの外国の軍隊が進駐するという変則な状態が生じた。これはかつての植民地支配者フランスの弱さをインドシナの人々に強く印象づけた。

 第2にベトナムを分断担当した二つの外国勢力は、自国の思惑により、対応が全く異なった。イギリスは、植民地主義者仲間として連合国フランスに同情的であったので、イギリス東南アジア司令部は全く暫定的なものとして接収統治を行った。

 フランスの復帰を期待してその通り実行した。

 一方、中華民国はフランスに同情する理由はどこにもなかった。したがって、ホー・チ・ミンを主席とする全ベトナム民主解放委員会の共産主義勢力を承知の上で協力し、フランスの復帰には消極的であった。そこで、中華民国の同情下にホー・チ・ミン勢力は終戦後の全国民総蜂起、すなわち「八月革命」によって、勢力を拡大し、九月二日には、ハノイで開かれた大集会で新しい共和国の独立宣言を行った。

 八月革命の目標は、広い反帝国主義民族戦線をつくり労働者階級が革命の主導権を持ち、徹底した武力抗戦展開することであった。一斉蜂起はハノイのみならずフエ、サイゴンにまでおよんだ。中華民国は、ベトナムの北半分についてもともと中国の藩属国であり、清仏戦争(1884〜85)の結果、フランスに強奪された記憶がある。そこでフランスの北部ベトナム統治権返還の要求に対し、1946年2月20日、中仏協定を重慶で結び次の代償を要求し、これを通して北部から撤退した。

 その内容とは「中華民国に対するフランスの一切の治外法権と租界の放棄、

『ハイフォン−昆明鉄道』輸送の中国商品への関税と通過税の免除、同鉄道の中国部分の所有権と経営権の譲渡、ハイフォン港の自由港化、在インドシナ華僑の地位向上など」であった。

 第2次世界大戦終了直後から始まったインドシナ半島をめぐる戦争は、1945年のジュネーブにおけるインドシナ休戦協定をもって一応終わりを告げた。
 しかし、それによって、訪れたつかの間の平和も1960年代初頭には崩壊し、その後、15年間にわたって続くベトナム戦争に突入する。この戦争は初期こそ南ベトナム国内の反政府勢力の蜂起という形を取っていたが、政府側にはアメリカ、韓国オーストリア、タイなどが肩入れし、また、反政府(南ベトナム民族解放戦線=NLF)側には、北ベトナム、中国、ソ連の後押しがあるという国際的な戦いとなった。いずれの側からの宣戦布告のない戦いであった。結果的には「いわゆる共産側」がベトナム全土を制圧し、「南ベトナム」という国家は約20年地球上に存在しただけで永久に消滅した。
この間、250万人近いベトナム人、5万7000人のアメリカ人、あわせて6000人近い韓国・オーストリア・ニュージーランド・タイ・フィリピン人がこの戦争で死亡している。

 アメリカは、1500億ドル、中国50億ドル、ソ連90億ドル、その他15億ドルに達する軍事・経済援助があわせて33万平方キロメートルのべとナムの地にそそぎ込まれ、煙となって消えた。この消耗戦の中で戦闘に参加せずアメリカの戦争に後方から荷担し経済的な実益を手にし、「ベトナム景気」と称して急成長したのが日本であった。



松島塾内文章の無断転載を禁じます。

 

トップページへ
松島探訪
旅行記(見聞録)
 ┣ ベトナム見聞録
 ┣ 北欧見聞録
 ┣ 東欧見聞録
 ┣ イタリア見聞録
 ┣ 韓国見聞録
 ┣ 南欧・北アフリカ
 ┃ (西地中海)見聞録
 ┣ 中国見聞録
 ┣ イタリア見聞録
 ┗ 東地中海見聞録
[歴史・歴史物語伝記・他]

ベトナム見聞録
はじめに
1日目(ホーチミン市)
  ┣ ホーチミン市紹介
  ┗ ホーチミン市の交通事情
2日目
  ┣ クチのトンネル
  ┗ クチのトンネルについて
3日目
  ┗ 午後 ホイアン市内視察
4日目
  ┗ 古都「フエ」へ
5日目
  ┗ フエ郊外地区研修へ
6日目
7日目・資料
  ┗ 「ベトナムの見所聞き所」
ベトナム紹介
  ┣ 「ベトナムの分断はなぜ起こったか」
  ┗ 「インドシナ半島について」
ベトナムの歴史・建国神話
  ┗ 参考文献

メール
ご意見・ご感想はこちらでお願いします
日記
著者の日々の記録
プロフィール
著者紹介
リンク
リンク集