松島塾
松島を愛する人のための教科書
ベトナム見聞録

3日目 ホイアン市内
3日目…2002年12月26日(木)日程
専用バス
ホイアン ………… ホイアン
         宿泊ホイアン

>>> 午前 ホイアン市内研修
(1) 「ホイアン」
*海のシルクロードとして中継貿易都市と日本との歴史的関わりについて研修する。
*海のシルクロード博物館・・・7:00〜17:00  料金1万VND
市場から徒歩2〜3分のところにある。東は、日本や中国から、西はイスラム世界までホイアンを中継地として運ばれた陶磁器の数々が展示されている。その多くは南シナ海に沈没した貿易船から引き上げたものやホイアン近辺で発掘されたものである。古伊万里やペルシャ土器などもある。
壁板の1.5メートルくらいの高さの色が少し他の所と違う。どうしたのかと思ったら、この土地は雨季になると時々大洪水に見舞われ水没するのだという。その時水が来るところまで板の色が変わるのだという。そのたびに土台は水に埋まり柱も腐食する。そこで、日本の昭和女子大学の調査隊が来て柱なども黒檀の柱を使って修理したのだという。このあたりは世界遺産に登録されており世界中の人々に守られて現在存続しているのだという。このあたりは歴史が古い。その分、川は土砂を運んできて川底が高くなる。するとみんなで土手を高くする。こうして天井川が出来る。このあたりの川はすべて天井川で周りの土地よりも川底の方が高くなっているところが多いという。日本でも奈良のあたりの川も天井川であったのを思い出した。

*イースーチャン博物館訪問(平和教育の視察)

(2) ベトナムの義務教育
 小学校は5年制、ハノイ、ハイフォン、ホーチミンの三都市だけが、中学校(四年制)までが義務教育となっている。ベトナムの義務教育システムは、日本のように年齢制ではなく、フランス式の課程制で小学校にも全国統一学年進級テストがある。試験に合格しなければ進級できない。この制度は到達目標を明確にし、生徒にきちんと学力を付けることを教師に義務づけている点では優れている。しかし、知的障害児などは入学できても進級が難しく中退せざるを得ない仕組みになっている。一般に中学への進学は難しいので読み書きが出来るようになれば職業訓練校に行く場合が多い。学校の建物が小さく、全員一斉に授業が出来ないので三部制にしているところもある。

午前の部・・・  07:30〜11:00
午後の部・・・  13:30〜17:00
全日の部・・・  07:30〜16:30 (共稼ぎの家族のために朝から夕方まで)

***ベトナムでは、今コンピューターと英語に力を入れている。 1976年〜1986年の間、英語教育を南部でもやめていたが、1986年改革開放が始まってから英語教育が復活した。

(3) 「小学校訪問」

ホイアンの小学校
 ベトナム中部の「ホイアン」の小学校を訪問した。ホイアンの新しい小学校は、建物も立派で校舎のうしろにはサッカー場もあったが、地面はでこぼこで手入れされていなかった。遊び場にはなるが体育には使えない。ゲームをするには危ないと思った。広場があるだけでも恵まれた学校のようである。門を入ると少年の像が立っていた。この地方出身の英雄の少年時代の像だという。ホイアンの小学校の校長は男であったが、それ以外の30人の職員は全部女性だった。
 ベトナムの公務員の賃金は安く教員も医師も賃金は同じで極端に安い。1ヶ月7000円くらいだという。子供二人と父母の4人家族で1ヶ月2万円くらいかかる。したがってアルバイトをしないと生きてゆけない。これでは男が公務員にはなりたがらない。教育という仕事がすばらしい仕事だから優秀な女性が教員になっているのであろう。夫や家族とともに働いていれば、何とかなる。国家は教育が人を作ることを知っているので講習を受けさせ新しい知識を学習させ資格を更新させる。
 国づくりとは根本的には人づくりであろう。そのためには、教職員の生活を保障し人材を確保しなければならない。ベトナムでは筋肉労働者の賃金のほうが、教員や医師の賃金より高いのだという。

 小学校の低学年の授業を見せてもらった。1クラス30人以下学級だという。先生がむちを立てると生徒は注目し、とんとんと机をたたくと背筋をピット立てた。先生が何か言うと生徒はいっせいに注目する。質問されると手を上げて立ち上がりはきはきと答える。誰一人私語をするものもいない。先生の指示通りてきぱきと動く。石版を持ち、さらにいろいろな道具がある。この学校はすべて国家基準に達している学校だという。
 ベトナム全体では国家基準に達している学校はまだ多くないという。しかし近いうちに全国が水準に達するようになるという。ベトナムではすべての教科に「標準試験」がある。国家が学力認定試験を行い水準に達していない場合には進級できない。ホイアンの学校では全員標準試験に合格しているという。中学への進学率も99%を超えているという。服装もきれいでぱりっとしている。ベトナムの子供たちが目を輝かせて勉強している姿を見て日本の小学校の先生がうらやましいといっていた。そう言いながら、「ちょっと何かが違う、なんかおかしい」という。
 ベトナムの学校はすずめの学校だという。「先生が鞭を振りふりチイパッパ」をやっている。日本は「めだかの学校」で「誰が生徒か先生か」という雰囲気だという。
 ベトナムでは、落ちこぼれたら進級できない。したがって教育目標は「よく学び、よく教える」である。教師の教え方が問題にされる。日本では「わからないのも個性」などと称して「落ちこぼれ」を認めてしまった。これでは、日本ではエリート教育は進んでも国民全体に力をつけることにはならなくなる。

小学校の授業風景

(4)ベトナムの教育について(その1)
1.ベトナムで最初の国立大学が出来たのは1076年でイギリスのオックスフォード大学が設立されるより2世紀も前のことであった。

2.識字率は93.7%と高い。小学校にはほぼ全員はいる。都市部では中学にもほとんど進学するようになった。農村では中学への進学率は低い。中学進学率は全国で30%〜40%である。小学校も人口に対し校舎の教室が少ないため、二部授業(午前と午後とに分ける)の所も多い。入学式は九月。したがって夏休みは学年末と学年初めの休みと重なる。7月初めから9月初めまでの二ヶ月が休みになる。テト(旧正月)の時期には二週間の休日がもうけられている。

3.総合大学、単科大学も多い。進学熱は高い。良い仕事に就きたいというだけでなく、儒教的信念で、学問的水準が高いことが社会的地位の現れだという考えがある。

女生徒の制服はアオザイ
4.1989年までは小学校入学時から12年間は学費は無料だった。それが3年間だけ無料に短縮された。学費は安いが、経済的な事情からこどもを低学年から仕事に就けてしまう親が増えている。

5.教師はかつては地域社会内で尊敬されていた。しかし、新しい政令によって給与が相対的に下がる一方なので、今では哀れなほどの薄給の職業になってしまった。多くの教師は放課後、塾でアルバイトをしなければ生活できない。大学の教育学部の入学資格も現在では他の専門課程よりもかえって低くなっている。小学校の教師が、校長一人が男性で後の30人は女性ということになる。筆者の見学したホイアンの小学校は、校庭もあり、教室も整備され、教師もかなり実力がありそうで、誇り高く堂々としていた。きけば標準以上の学校で、中学校への進学率はほぼ100%だという。全員が刻苦標準テストに合格していると胸を張って答えた。その学校が校長以外は全員女性教師だった。

6.雀の学校とメダカの学校がある。日本はメダカの学校で「誰が生徒か先生か分からないくらいに騒がしく、子どもがかってに歩き出すものもいる」という。注意するとパニックになる。かってに歩き出したりしゃべったりするのは病気だったりする。それがクラスに複数いたりすると大変なことになる。パニック症候群という病名で時々収拾がつかなくなるのだという。ところがベトナムの子どもたちは30人学級で、みんな先生の方を向き一生懸命勉強している。ここは「すずめの学校」で先生が鞭を立ててトンと机をたたくと一斉にピッと先生の方を向き指示を待つ。見事に一糸乱れぬ行動をとる。昔日本の小学校もこうだったなと思い出す。
 日本では鞭は支持するだけでなく、確実に体罰に使われ教師は怖いものと思っている子どもたちも少なくなかった。子どもも教師も日本に行ってみたいという。日本は工業も優れ学ぶべきところが沢山あるからだという。しかし残念ながら今は行けない。きっといつかいけるようになるからその時は是非日本に行ってみたいという。



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1日目(ホーチミン市)
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  ┗ ホーチミン市の交通事情
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